
「LINK」展の開催に寄せて
写真家である夫が、
小説家である妻の作品のイメージを
写真で表現するという今回の試みは
「VOLVOXで写真展するけど、
あんたも何か展示せえへん?」
という夫の一言からスタートしました。
そう誘ってもらったものの
展示できるような作品はないので
断ろうと思いましたが
「小説家・新美宇受女として
作品を出したらええんちゃうの?」
という言葉に後押しされて、
出展を決めました。
2005年に津市美里町に移住し、
その翌年に古民家カフェHibicoreを
オープンしましたが、
それとほぼ同じ頃に
小説『玻璃真人新記』を書き始めました。
カフェの女将をしながら書き綴ったものが
作品となり、2008年に第一部を
2020年に第三部を出版しました。
小説の舞台は架空の村ですが、
そのモデルとなっているのは美里町です。
移住して15年間の間に
妻が小説に描いた風景と
夫がカメラで切り取った里山の風景。
お互いの世界に干渉することの
なかった二人ですが、
異なる表現の世界にいながらも
見つめてきたものは
案外同じものだった
のかもしれないということで
作品展に「つながり、関連、絆」
という意味の「LINK」という
タイトルを付けました。
「書くこと」と「見ること」の
二つの世界の重なりを
お楽しみいただければ幸いです。
新美 宇受女