
境界を描くこと
松山さんの作品と初めて出会ったときのことを、
今でも鮮明に記憶している。
10数センチほどの正立方体の一面に、
わずか数ミリの小さな汚れのような点が描かれていた。
コンテンポラリー・アートは難解という言葉で片付けるのは簡単だが、
私は彼の描き出す作品よりも、彼が何を追及したいのかということに
興味が湧いたことを覚えている。
2016年にVOLVOXで開催された個展のタイトルは「図になるもの 地になるもの」だった。
この「地と図」というキーワードは、私がかつて編集工学を提唱する松岡正剛氏の元で
学んでいたときにも出てきたワードだ。
松岡氏によれば
「一般的な任意の図形というものは、図形だけで成立しているのではなく、
多くは「地」(グラウンド)と「図」(フィギュア)の関係をもっている。
「図」が「地」から飛び出してくる。
そうであるからこそ、そこには知覚行為にともなう「意味」が自立する。」という。
「エッシャーなどの騙し絵などは、
この「地」と「図」が曖昧な図形で描かれているために、
視覚像に対して知覚はたいへんな努力をする。
フィードバックとフィードフォワードとを強引におこす。
そこでは「意味」も行ったり来たり動くのだ。」と続く。
松山さんの描く対象は抽象的な図であるから、
鑑賞者が頭脳の混乱を起こすことは、まずない。
しかし、そこに描かれているモノ、その意味を問う時、
鑑賞者はしばし混乱するかもしれない。
小さく描かれた「点」とその周辺のモノ、あるいは「場」との関係には、
目に見えないけれど、確実に存在する境界線がある。
松山さんは、その目に見えないけれど、
間違いなく存在する境界線の意味を問い続けているのかもしれない。
____________________VOVOX事務局 立岡 茂
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松山広視展
MATSUYAMA HIROSHI EXHIBITION
絵画における図となる部分と地となる部分の関係性を
追求されている松山さんの2年ぶりの個展です。
■開催日時/2018年4月28日(土)~4月30日(月)
______11:00~19:00(最終日は17時終了)
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アート・クラフト表現空間 VOLVOX
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